la petit cuvee

“プチキュベ”と、舌ったらずに発音して下さい。 くれぐれも、「ヴェ」と下唇を噛まぬよう・・・。
再び、迷える子羊たちの輪舞
「おれだって迷子だぜ。おれは迷子をやめる気なんかさらさらねえな。」
(『オール・トゥモロウズ・パーティーズ』ウィリアム・ギブスン)


この小説の邦題は『フューチャーマチック』で、しかもその邦題がギブスン自身の提案だったということで、おまけに翻訳者が私の敬愛する浅倉久志(大御所!)なので、本来は出典は素直に『フューチャーマチック』と書くべきなのだけど、原題の『オール・トゥモロウズ・パーティーズ』(“明日からのパーティーというパーティ-ぜんぶ”)という言葉が何となく好きなので(ルー・リードの歌は知らないけれど)、原題の片仮名表記にしておく。

そのサイバーパンク小説の一場面。浮浪者の少年が道端で、二人連れの女性に頼まれて車の番をしている。傍を通りかかった男が少年に一人の女性の写真を見せ、この女を見なかったか、と訊ねる。その写真の女性がたったいま自分に車の番を頼んだ二人連れの一方だということに気づきながら、少年は首を横に振る…。

「行方不明だ。わかるか? 彼女を助けたいんだよ。迷子を」。男は食い下がるが、少年は知らない振りを決め込む。その理由が、「おれは迷子をやめる気なんかさらさらねえ」なのだ。

なるほど、迷子だからといって、差し伸べられる手には絶対に縋らなきゃいけないという法はないのだ。私を捕らえてどこかへ導こうとする手は、今のところ、ただ私を煩わせるだけだ。

私も一種の迷子ではあるけれど、もちろん、「迷子をやめる気なんかさらさらねえ」。
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