la petit cuvee

“プチキュベ”と、舌ったらずに発音して下さい。 くれぐれも、「ヴェ」と下唇を噛まぬよう・・・。
そして(氷の海を)船は行く
「たぶん俺にとって、人生ってのはただ生きてくってことでいいのかもな。」
(『ソラニン』浅野いにお)


ソラニン。
じゃがいもの芽に含まれる毒素の名前。
そして、「ただ生きてくってこと」を描いた、この漫画のタイトル。

たとえば、種田を失った芽衣子は初め、いなくなった種田に向かって「ずるいよ」と独白する。けれど最後のモノローグでは、芽衣子は種田に「ちょっとだけ/ごめんって思う」。そのふたつの瞬間、芽衣子にとって「ただ生きてくってこと」は鮮明に対極の意味を持っている。つまり、そこで意識されているのは「ただ生きてくってこと」の苦痛の中に一人で残された自分と、「ただ生きてくってこと」の幸福の中に一人で残った自分と。

たとえば。
ラストで(ビリーこと)山田に「大丈夫か?」と訊かれて、芽衣子は緩やかに笑って言う。
「……ま、きっと、どーにかやるさ。」
それが「ただ生きてくってこと」に対する、芽衣子の答え。
それが『ソラニン』の結末。

そして、それは「ただ生きてくってこと」に対する、私の答えでもある。

悔しいな、と思う。
こんな漫画を描ける人がいるなんて。
浅野いにおは、他の作品を読んでも少しもいいと思わなかったのに、この『ソラニン』だけは別だった。まあ、私自身は漫画を描こうなんて思ったこともなくて(絵を描くのは嫌いじゃないけどデッサンが壊滅的に下手くそ)、悔しいと思ういわれなんて全然ないのだけど。
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