la petit cuvee

“プチキュベ”と、舌ったらずに発音して下さい。 くれぐれも、「ヴェ」と下唇を噛まぬよう・・・。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/--(--) --:--:-- | スポンサー広告 | Trackback(-) | Comment(-)
異国への、厚くて重い扉
「低地からの道の入口には<マコンド>という標識が、また、町の中心の通りには<ディオス・エクシステ>(「神は存す」の意)という別のもっと大きなものが立てられていた。」
(『百年の孤独』G.ガルシア=マルケス)


触れただけで音もなく向こう側へ開き、するりと滑り込むことのできる扉がある。はじめから開け放たれていて、大歓迎、と書いてあるのにくぐる気のしない扉もある。かと思うと、ぴたりと閉ざされ、手で押しただけではぴくりともしない、古びた頑丈な扉がある。

マコンドは、容易には立ち入ることのできない町だ。
雨季には魚が宙を泳ぎ、恋心が黄色い蛾を呼び寄せ、現実か幻か定かではない三千人の死者が、貨物列車で海へ運ばれる町。

生と死がゆるやかな地続きになるその町で、ブエンディア家の子孫たちはそれぞれの魔術的な孤独を生きる。長い雨の後に長い旱魃が訪れ、そうして百年が、ゆっくりと過ぎてゆく。

ページを開くと、マコンドはいつも扉を閉ざしている。私は途方に暮れ、それから気持ちを静めて扉に肩を押し当て、体重を預けるようにして慎重に、鈍く軋むその扉を押し開ける。その手続きには非常な注意が必要で、いったん中へ入れば、抜け出すことも同じほどに困難だ。何とか扉を引き開けて外へ出る頃には、私はマコンドの止まない雨に打たれてびしょ濡れになっているか、乾季の白い太陽に灼かれてすっかり干からびてしまっている。

いずれにせよ、この小説にあまり長く関わりすぎると危険だ。
まだ物語の最後まではたどりついていないのだけど、そろそろ止めにしようと思う。

追記。

初めて読んだのは五、六年前だと思う。記憶の中の場面が実際とずいぶん違っていて驚いた。小町娘のレメディオスが白い蝶の群れに包まれるシーンを私は鮮明に覚えていたのだけど、実際は蝶ではなくて白いシーツだった。マウリシオの黄色い蛾とごっちゃになってたみたいだ。

そして、表紙(1999年の改訳版、新潮社)の絵がものすごくヒエロニムス・ボッシュに似ている。グロテスクさと滴るような悪意を九割はぶいたボッシュ。うん、いい塩梅。
スポンサーサイト
Comment
≪この記事へのコメント≫
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する
 
Trackback
この記事のトラックバックURL
≪この記事へのトラックバック≫
Designed by aykm.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。