la petit cuvee

“プチキュベ”と、舌ったらずに発音して下さい。 くれぐれも、「ヴェ」と下唇を噛まぬよう・・・。
レオンという名のチワワのために
一昨日、昼下がり、住宅地の路地で。
高校生か大学生くらいの、バレー部のアタッカーのような印象の若い女性が、まっすぐに私と目を合わせて近づいてきて、いきなり「チワワ見てませんか?」と言った。一瞬、何を訊かれたのかわからなくて、「チワワ?」と鸚鵡返しに言ったのだけど、彼女の質問はつまり、この辺りでチワワ犬を見かけなかったか、という意味なのだった。
数秒してようやく私は、「いえ、チワワはちょっと、見てないです」とぎこちない返事をした。
「あ…そうですか」と低く彼女は答え、そのまま身をひるがえし、いなくなったチワワを呼びながら去っていった。
「レオーン?」と。

チワワという犬種は、あんまり好きではないのだけど、迷子になられてあれほど心配な犬は他にいないと思う。もちろん何犬であれ自分の飼い犬なら心配なのは当たり前だけど、チワワというのは非常に小さく、非常に短毛で寒そうでもあり、非常に目が飛び出ていて非常にぶるぶる震えているので、迷子でなくても世界のぜんぶに対して、非常に怯えているように見える。

愛犬レオンを呼ぶその声が遠ざかるのを耳で見送りながら、どこかからちっちゃなレオンがそれに応え、尻尾を振って駆け寄ってきますように、と、祈らずにいられなかった。

大丈夫、きっと今頃は飼い主のもとであったかくしてる。
そう信じてはみるけれど、あったかくしてても、チワワというのはやっぱり怯えたような顔をしてぶるぶる震えているんだろう。

うーん、チワワ、この薄倖なる生き物。
いや、チワワはチワワ的に幸福なんだろうけどもさ。

ともあれ、私はあのとき間違いなく、レオンという名の見知らぬチワワのために、真剣に祈ったんだ。

(“a dog who named Leon”)
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