la petit cuvee

“プチキュベ”と、舌ったらずに発音して下さい。 くれぐれも、「ヴェ」と下唇を噛まぬよう・・・。
未亡人と過ごすクリスマス
「あなたの知性をあなたの人生の導き手となさい。」
(ティラー・J・マッツエオ/『シャンパーニュの帝国』より、ヴーヴ・クリコが曾孫に宛てた手紙の一節)

クリスマス前に飲み物の打ち合わせをするのはだいたい私と兄の役目で、今年はシャンパンを私が/赤ワインを兄が、という分担に決まったのだけど、「泡をお願いしたい」という依頼のメールの最後に「ヴーヴクリコが、飲みたいな♪」とあって呆気に取られた。

最後の「♪」にも些かイラっとしたのだが、それよりヴーヴ・クリコって。
たぶん、ブリュットのイエローラベルのことを言っているのだろう。まさかグラン・ダーム(馬鹿高いトップキュヴェ)ではあるまいが、それにしても、薄給の身には予算オーバーだ。

そもそも私は「黄色」という色があまり好きでないのと、コルクを押さえている王冠に描いてあるマダム・クリコの肖像画がどうにも苦手なのと、「ヴーヴ」という響きが何となく気に入らないので、ヴーヴ・クリコ案には反対した(同じ金額を出すとしても他の、恐そうなおばさんの肖像画なんかついてないシャンパンが良かった)。

けれどやはり、直截「ヴーヴ・クリコ」と名指したからには「きっと何か理由があるのだろう、もし別のシャンパンを買っていってひどくがっかりされたり、何かの計画を台無しにしてしまってはまずい」と小心者ぶりを発揮して結局、指定通りの黄色い箱を抱えて実家に帰った(最近、実家に帰ってばかりいる気がする)。

けれど何のことはない、わざわざそれを指定したのは兄から私へのクリスマス・プレゼントがヴーヴ・クリコの伝記だったからで、そういう演出のために贈る相手に贈り物以上の出費を強いるってどういうことよ、とまた呆れたのだけど、まあ、イエローラベルは記憶にあったよりずっと美味しくて(もっと繊細で上品なイメージがあったのだけど、意外と芯が強く艶やかだった)、みんなも喜んでたので、ま、いいか。

赤は、レイヴンズ(レーヴェンス)・ウッドのジンファンデル。大好きなワインのひとつだけれど、シャンパンだけで食事が終わってしまったので、抜栓せずお正月回しに。

ちなみにメインは雑誌『dancyu』の掲載レシピでビーフシチュー(美味しかったけど私は別のレシピのが好き)。兄のお手製キッシュ(サーモンと黒オリーヴ)も、義姉のお手製リンゴのタルト(カッテージチーズ入りで甘すぎず爽やか)もとても美味しかった。
自分が料理には参画せず酒だけぶら下げて加わる、というのが、ちょっと居心地悪く思えるくらいの盛り沢山な「実家」クリスマスでした。

i wish you a merry Christmas and a happy new year!
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