la petit cuvee

“プチキュベ”と、舌ったらずに発音して下さい。 くれぐれも、「ヴェ」と下唇を噛まぬよう・・・。
暮れてゆく空の色を、ただ見つめるということ
伸びやかな青に澄んだ秋の空が、それまでの照明にセロファンをかけたように、ふっと色合いを変える。落日の始まりに気づくのは大抵そういう感じで、そのセロファンは懐古趣味なセピア色とは程遠い、ほとんど透明に近いくらいの淡いトパーズ色だ。

地平線に近い空は白々としたシャンパン・ゴールド。夜明けなのだと言われればそのまま信じてしまいそうだ。傾いた太陽の光を受けて、ちぎれ雲が金色に光る。やがて空はゆっくりと彩度を落とし、残照のきらめきもまた色褪せて、すべてが薄紫と薄墨色との無限の境界へ溶け込んでゆく。
その移ろいがあって初めて、ああ、これは夜明けではなく日没だ、と私は確信する。

秋の日暮れは時に切なく、時にたとえようもなく美しい。
創造主たる神様は「天にまします」のだから、暮れてゆく空を地上から見上げたことはきっと、ないだろうに。
そんな風に思ってから、私は少し怯む。
私は神を信じてはいないのに、と。

祈りを叶える神、逆境から救う神、思いがけない“ギフト”をもたらす神。
或いは信仰を試す神、試練を与える神、天罰を下す神。
そして、変えられない宿命を司る神。
それらの神を、私は一切、信じていない。
善も悪も、試練も逆境も、喜びも幸福も、すべて人間のものだと思う。
自己責任という非情な言葉の、それが本来の意味なのだと。

そのくせ、私は空の色を見つめる時、そこに何か大きな力のはたらきを感じる。
善悪の基準、報酬や懲罰、身体や魂、宿命や意志とも無縁な存在。
いや、恐らく存在という概念とさえ無縁な、何かの“力”。
それはきっと、宇宙にはたらく力だ。
人の存在を超越/無視した、巨大なエネルギー。

神であれ何であれ、意志ある何ものかがこの星を回しているのではない。
もし私が何かを神と呼ぶなら、それは重力であり、遠心力であり、熱量であり、質量だ。
それはつまり、ええと、何だ、とにかく“すべて”だ。
この世界にはたらくすべての力。
太陽が燃え、星が凝固し、重力と遠心力とが奇跡的に釣り合い、その途方もないエネルギーでもって太陽の周りをぎゅんぎゅん回る。

その「ぎゅんぎゅん回る」惑星のうちのひとつが地球。

その地球の表面はおよそ1/3が海に満たされ、残りの2/3が陸地だ。海においても陸においても無数の生命が、それぞれの日々を生きている。怒りと憎しみに満ちて殺し合いながら/愛と歓喜に満ちて求め合いながら、互いに嫉妬や侮蔑の念をぶつけ合いながら/感嘆や尊敬の意を交わし合いながら、或いは地球のちょっとした身震いに、その儚い生命を脅かされながら/その唯一無二の生命を固守しながら。

そして潮が満ちてはまた引き、時に狼男が満月に向かって遠吠えする。
もうまったく、気が遠くなる。

でも、そんな地球でほんの一瞬の人生を生きることを、最近ようやく、受け入れられるのかな、と思い始めた。
空の色や、風の匂いや、水の手触り。
生まれて来なければ、生きていなければ、私はそういうものの美しさを知ることはなかったのだろうから。この宇宙というものの存在を知ることも、なかったのだろうから。

追記、念のため、変なドラッグとかやってるわけじゃありません。
自由と孤独の天秤が、ちょっと揺らいでいるだけです。
深夜この時間に起きているということは、まあ当然、酔っぱらってはいますが。

とりあえず今の私は琵琶湖に行きたいんです。
たとえ沖へ漕ぎ出してもう二度と戻らなくても、それは私の自己責任。
いや、カヤック漕ぐときはちゃんとライフジャケット着るし、「このまま沖に向かって行けるところまで行ってやろう」とか思ってもちゃんと踏みとどまります。風速5メートルを目安に、危なそうだったら行くのやめます。
自己責任ったって、私の負える責任範囲はたかが知れているということ、私ひとりの命さえ自分ひとりのものだと言い切って捨ててしまえるわけではないこと、ちゃんと解ってます。

だから、大丈夫。
どうかそんなに、心配しないでください。
生きているということと、これからも生きていくということに、私はちゃんと、和解しようとしているので。
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≪この記事へのコメント≫
こんばんわ、お久しぶりです。
酔いに抱かれながら哲学ってますねぇ。

まずはマイカヤック入手おめでとうございます。
慣れるまでは誰か誘って一緒に行く事をオススメしときます。
やはり安全第一が良いのでは、と。
2012/10/21(日) 01:06:21 | URL | pac #njqubW3Q[ 編集]
pacさんお久しぶりです! お元気ですか?
マイカヤック、今日はじめての組み立てにチャレンジしました。
室内での380cmはかなり巨大です(またそのうち記事にします)。

そしてちょっと久しぶりにブログ拝見しました。
日本酒苦手な私ですが、滋賀の「松の司」はほんとにお勧めです。
あとiPhone導入おめでとうございます(いつの話だ!)。
たぶん私は最後の一人になるまで旧携帯を使い続けるでしょうが、そのうちカヤック中に水没しそうな予感が…。
2012/10/28(日) 20:33:20 | URL | サト #-[ 編集]
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