la petit cuvee

“プチキュベ”と、舌ったらずに発音して下さい。 くれぐれも、「ヴェ」と下唇を噛まぬよう・・・。
あの虹を越えて
どこか日本の団地を思わせる、古風な白いマンション。洗濯物が干してあったりデッキチェアが出ていたり鉢植えがあったりするベランダの、たぶん六階か七階くらいの手すりのところで、一人の少女が空に向かって歌っている。

穏やかな憧れを秘めた瞳は灰色がかった淡い茶色。目元にはそばかす。髪は瞳と同じ灰茶色で、ふわりとしたボブにしてある。

どうやら映画のオープニングシーンらしい。カメラは同じ高さで、正面からそこを映している。

余白は青空。

その歌と少女の伸びやかな佇まいとがあまりにも鮮明だったので、私はきっと目を覚ましてからもこの歌を覚えているだろう、と思った。

けれど、目を覚ますとその歌は口に入れたメレンゲ菓子みたいに溶けて消えてしまって、今はただ『虹の彼方に』の後味が残るばかり。

何だか、ヴィム・ヴェンダースの『ランド・オブ・プレンティ』を思い出した。
見知らぬ街、始まったばかりの旅の中で「thank you god,」と呟いていた、あの夢見るような微笑を。

うん、なかなか良い夢だった。

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