la petit cuvee

“プチキュベ”と、舌ったらずに発音して下さい。 くれぐれも、「ヴェ」と下唇を噛まぬよう・・・。
アントニオ・タブッキの尾鰭あるもの
「笛のように長くひびく、喘ぐような、胸に突き刺さるような、たまらない音。」
(『島とクジラと女をめぐる断片』アントニオ・タブッキ)

銛とナイフによって仕留められた鯨の「死の咆哮」。
その叫び声がどんなだか、私は知っているような気がするのだ。多分、数年前メルヴィルの『白鯨』を読んだ時に聞いたのだろう。

タブッキってこんな作家だったっけ?
『ベアト・アンジェリコの翼あるもの』、タイトルに惹かれて読んだことがあるはずなのだけど、今いち記憶に残っていない。

翻訳は須賀敦子。
『ピム港の女』というシンプル極まりないタイトルを『島とクジラと女をめぐる断片』(訳者曰く「私流の長たらしい表題」)としたのは、「『港と女』というありふれた組み合わせから逃げたかったのと、クジラや島の話が表題から落ちてしまうのが惜しかったから」だそうだ。

何と謙虚な。

この「長たらしい」表題がなければ、タブッキの物語がそれを好む人たちと出会うことは格段に難しくなるだろう。

須賀敦子という名前は、何となく記憶にある。『ユルスナールの靴』という小説か随筆を書いていたはずだ。

この世にはまだまだ、私の見逃している本がたくさんあるらしい。

サルマン・ラシュディを読みながら「インドのガルシア・マルケスだ」と感嘆していて、あとがきに「『百年の孤独』と並び称される」と書かれているのを見た時、がっかりしたような嬉しかったような。

それでも、タブッキはポルトガルの山尾悠子だ、と言うのはもう少し保留。もちろん、山尾悠子は日本のアントニオ・タブッキだ、と言うのも保留。

とても近い何かを感じるのだけど。
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