la petit cuvee

“プチキュベ”と、舌ったらずに発音して下さい。 くれぐれも、「ヴェ」と下唇を噛まぬよう・・・。
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恋愛至上主義社会のマイノリティとして
『だけど、きみの恋は、憎しみとすこしも区別がつかないんだものね』
(ドストエフスキー『白痴』)


このブログを見た人から、もっと恋愛のどろどろしたことを書かないのか、と訊かれてふと思い至った。(これを口にすると人でなしのような目で見られるのであまり言わないようにしてたのだけど)恋愛はどうやら私の生活の埒外にあるらしい、と。

つまり私は恋愛のどろどろを「書かない」のではなく、単に書くべきどろどろを何も持ち合わせていないのだ。

そう、世の人々が普通に恋愛をしているという事実が、私にはとても不思議だ。もともと喜怒哀楽の激しい私には恋愛に関わるもろもろの感情は負担にすぎるし、日々の生活で充分バタバタしてるのにこのうえ恋愛なんて、それはもう、驚異かつ脅威でしかない。淋しくないのかと訊かれれば、うん淋しい、とは答えるけれど、実のところ私は、淋しい、という感情が嫌いじゃない(悲しいのは嫌だけど)。孤独だ、と思ったときにひたひた込み上げてくる淋しさの、あの冷たい紺青色の静寂は、何だか茫漠とした宇宙を連想させて心地がいい。うん、まあ、マゾヒスティックな快感なんだ(そういうことを言えるうちはきっと、本当に孤独なわけじゃないんだろう)。
 
さて、本題。ドストエフスキーの『白痴』。
この小説に初めて出会ったのは米川正夫訳の岩波文庫版。地元の図書館だったか、大学の図書館だったかは忘れた。ずいぶん昔に絶版になってて今も復刊はしてないと思う。ふふ、マニア垂涎の蔵書なのだ(?)。そして、サン=テグジュペリの著作と並ぶ、私の生涯のバイブル。

ドストエフスキーが「無条件に美しい人」として描いた青年公爵レフ・ムイシュキン。ナイーヴで、人を疑うことを知らず、たくらみを好まず、時として不躾なほど正直で率直、そのくせ自分の言動が他人を不快にしたり傷つけたりしたと見て取るや、顔を赤くしてうろたえる。そして、「すべての悪感情に対する無理解」(岩波版上巻の解説)の持ち主。だが、癲癇持ちで神経を病んだこの善良なる公爵は「白痴」と呼ばれる(岩波版では時々、台詞中の「白痴」の文字に「ばか」という身もフタもないルビがふられている)。「神さまはおまえのような人をかわいがってくださるんだよ」というレーベジェフの言葉が明確な伏線であることを私は願ったのだが、レフ・ムイシュキンは最後まで、幸福の尻尾を捕まえようとはしない(むしろ振り払ってしまう)。
 
つまり、真に善良なる人々は常に不遇なのである。善良であることが自身の幸福に結びつくことは稀なのだ、世の楽天家たちが何と言おうと。そして、善良であることは往々にして、滑稽でもある。

けれど、自ら滑稽である事を選べる人は偉大だと思うのだ。馬鹿を見る自分に甘んじられるということは、自分の不利益を省みず他人を救えるということだ。

誰が言っていたのか忘れてしまったけれど、「死刑囚と死刑執行人のどちらかであらねばならないなら、決して執行人にはならぬこと」。世間から見ればそれは不遇な事かもしれないし、馬鹿げた/生存競争に適さない/間の抜けたことに見えるかもしれない。けれど私は、できる限りそれを信条として生きたいのだ。(たとえ正しくても多数派にはつくな、というようなことが、確か『河岸忘日抄』に書いてあった…。)

そう、だから、腹黒い利己主義者たちよ。彼らをすっかり騙し遂せているのだとは思わないことだ。侮られることに腹を立てているうちは、私もまだまだなのだけど。
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Comment
≪この記事へのコメント≫
かつてベムはベロに言った。
「人が何と言っても、おまえは正しいことをしたには違いない。」
深いなぁ。見ている人は必ずいるのです。マイノリティ、おおいに結構じゃありませんか。
2007/02/16(金) 12:39:18 | URL | トチメンボー #-[ 編集]
何やらもったりした…
トチメンボーさん、コメントありがとうございます。

「人が何と言っても」と言い切れる強さと確かさ! マイノリティの必要絶対条件…かもしれませんね。

またよろしくお願いします☆

追記:もし私がシェフでお客さんに「トチメンボー」を注文されたら、迷わずじゃがいものニョッキを作ります。いや、何となく。
2007/02/19(月) 20:23:03 | URL | サト #-[ 編集]
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