la petit cuvee

“プチキュベ”と、舌ったらずに発音して下さい。 くれぐれも、「ヴェ」と下唇を噛まぬよう・・・。
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赤ワインの夢の名残り
「けれども、何も書かなければ、人は無為に生きたことになる。」
(『ふたりの証拠』アゴタ・クリストフ)


リキュールを思わせる濃密な香り。
ダークチェリー、カカオ、それから少しのインク。

久しぶりに飲んだ赤ワインは、普段なら絶対に買わないイタリアのヴァルポリチェッラ(ロンディネッラ&コルヴィーナとの混醸。北イタリアの葡萄のすべてを網羅した、と裏ラベルは豪語する『アルファ・ゼータ』)。

正直、期待はしていなかった。イタリアの赤ワインにはずっと偏見があって、過剰に軽薄か軽薄に過剰か、そのどちらかだと思っていたのだ。

その日は夕食が宅配ピザと決まっていたので(宅配ピザなる食べ物が私の人生に介入してきたのはごく最近のこと)、それに合わせたつもりで選んだのだけど、結局その日は開けず、翌日ひとりで飲むことになった。

挨拶を交わした途端、秘密めかした目配せに驚いた。かと思うとあっという間に寝室に引き込まれて、ドギマギしようにも相手は体温の高い十歳足らずの子供で、古い裁縫箱にしまい込んだ宝物をこっそり、大事そうに見せてくれる。

鳥の羽、壊れた方位磁石、波に削られて丸くなった硝子の破片、潮風で錆びた時計の発条、色褪せたレースの端切れ。

私はそれらを手渡されるままに受け取っては眺め、そこに見え隠れする物語を読む。

この少年は海を見たことがないのだ。
けれど、見たことがないからこそ、どんな船乗りよりも鮮やかに、海を描き出してくれる。

私は感嘆しつつ、少年の紡ぐ物語の続きを追う。
眠たいことも忘れて、夢中になって。

ヴァルポリチェッラって、こんなワインになるのかぁ。

久々に、新しい出会いと発見。
とは言っても、あまりに無為な一日を過ごした挙げ句に眠れずにいるせいで、過剰に詩的な描写をしているのかもしれないけれど。
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