la petit cuvee

“プチキュベ”と、舌ったらずに発音して下さい。 くれぐれも、「ヴェ」と下唇を噛まぬよう・・・。
無意味の意味を問う無意味
「彼らはみな一定の段階での神と人間の経験を語っているのであり、それぞれ固有の仕方で、世界の証人となるのである」
(ヴァーツラフ・ハヴェル『オルガへの手紙』/アレクセイ・コドレスク『外部の消失 亡命へのマニフェスト』より孫引き)

政治的あるいは宗教的思想信条の相違。
極私的人間関係において、それが致命的な問題だと思ったことはなかったのに。

強い拒絶と反発の気配が、ざわりと首筋を撫でた。
議論はもはや口論ですらなく、無為より悪い苛立ちと敵意のうちに、時間がじりじりとすり減ってゆく。

「私にはそういう考え方は受け入れられない」と、私は言ったのだ。決して、「あなたの考え方は間違っている」と言ったわけではない。その違いを、どうしても相手に伝えることができなかった。

チェコスロヴァキア(後にチェコ共和国)の大統領を務めたヴァーツラフ・ハヴェルは、就任以前、獄中から妻に宛てた書簡にこう綴っている。「折衷主義については、わたしはどんな怖れももっていない」。「ダーウィンをキリストと、マルクスをハイデッカーと、あるいはプラトンを仏陀と和解させようと試みるのは、愚かで不可能で、また全く無意味と思われる」。

けれど、口論の相手が「折衷主義」も「不可知論」も嫌うだろうということは解っていた。

焼けた砂を噛むような、強い焦燥感。
この議論はこれ以上続けるべきじゃない。

同じフィールドにさえ立てないままの辛いやり取りの末、私は疲れ果てて口をつぐんだ。

これ以上続けるべきじゃない、というよりは、そもそも始めるべきじゃなかったのだ。

幸い、議論は唐突に投げ捨てられた。

けれど、今もまだ、ぷっつりと途切れた議論の切れ端が、どこかに漂っている気がする。

つまり「語りえぬものについては沈黙せよ」(ヴィトゲンシュタイン)、それが今回の教訓だ。
スポンサーサイト
Comment
≪この記事へのコメント≫
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する
 
Trackback
この記事のトラックバックURL
≪この記事へのトラックバック≫
Designed by aykm.