la petit cuvee

“プチキュベ”と、舌ったらずに発音して下さい。 くれぐれも、「ヴェ」と下唇を噛まぬよう・・・。
ヘマトクリットの推移
「自分が客体になるなんてのはね…」
(『はみだしっ子』三原順)

写真を撮られるのも医者に診察されるのも大嫌いだと、『はみだしっ子』のグレアムは言う。「自分が客体になるなんてのはね…」と。

私もそうだ。

以下、夢ではなく現実の話。

近所の総合病院に血液検査を受けに行ったら、頼りない後姿のインターンらしき医師のところへ通されて内心「大丈夫かな」と思ったのだけど、デスクからこちらに向き直ったその顔が、ちょっと見ないくらい綺麗だった。

そのまま翼をつけた石膏像になりそうな感じ。色が白くて、些か近未来的な整い方をした輪郭に澄んだ大きな目をして(白衣がおそろしく似合わない)。

その黒い瞳でまっすぐ私の目を見つめながら喋るものだから、私は完全に怖じ気づいてしまう。綺麗なものを見るのは好きだけど、「綺麗なものに見られる」のはとんでもなく居心地が悪い。

時折ジェスチュアを交えるその指先だけが顔に似合わず庶民的な風情。これで指まで綺麗だったら救いようがない、と、よく解らない安心の仕方を私はする。

しかし医者にあの美しさは無用だと思う(患者を萎縮させてどうする)。

ともあれ検査結果は二週間後だそうで、予約票には別の専門医の名前が入っていた。あの顔を見られないのは少し残念だけれど、あの顔に見られずに済むのは有り難い。

やれやれ。
ま、どのみち大した病気じゃなさそうだけど。
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