la petit cuvee

“プチキュベ”と、舌ったらずに発音して下さい。 くれぐれも、「ヴェ」と下唇を噛まぬよう・・・。
2014年、魔法使いに昇格?
「我々はカメラ・オブスキュラであり灯台でもあるのだ。」
(『穴掘り公爵』/ミック・ジャクソン)


引用した一文はこう続く。「我々は光を受け取るとともに送り出しもするのである。」
この奇作?『穴掘り公爵』についての雑感は後日の「どくしょきろく」に譲るとして、光を受け取るものであると同時に、光を送り出すものであろう、という気持ちを込めて、この言葉を2014年の銘に。

先日、4歳の男の子にトランプの手品を見せたときのこと。
ハートのエースが、カードの山のいちばん下からいちばん上へ瞬間移動したように見せかけるのだけど、大人相手には通用しないような、他愛ないトリックだ。それを、「『えいっ』って、ここ(カードの山の上)を叩いてみて」などと言って、あたかも子どもが自分の念力でカードを移動させたかのように演出してみる。
いちばん下にあるはずのエースがいちばん上から出てくると、子どもは「うぉー」とも「ふぇー」ともつかない機関車の汽笛のような声を喉から出して、エースがあったはずの底のカードがジョーカーに化けているのを見せると、同じ声をもう一度、喉から出した。
ややあって平静を取り戻すと、彼は明らかな強がりの口調でこう言った。
「なんや、そんなん、ただの魔法使いやんか。」

堪えきれずに、笑った。
ただの魔法使い。
「今のは、Yちゃんが気合いでやったんだよ」と言ってみても、彼は不信の眼差しを返すのみ。
つまり、仕掛けはどうあれ私がやったことなのは、ちゃんとお見通しなのだ。
でも、そうか。
私にも、「ただの魔法」なら使えるのだな。

思いがけず「魔法使い」の称号を賜って、何だかとても、嬉しかった。
「ただの」魔法使い、というところが、またいい。
誰かを驚かせ、いっとき夢中にさせる。ただそれだけの、些細な力。
でも、この感覚を、今年一年(いや、もっとずっと先まで)、大事にしよう。

『穴掘り公爵』を読んだのはこの出来事の少し後だったのだけど、いい文章に出会えた。
うーん、これだから本を読むのはやめられないんだ。
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