la petit cuvee

“プチキュベ”と、舌ったらずに発音して下さい。 くれぐれも、「ヴェ」と下唇を噛まぬよう・・・。
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薬を捨て、町へ出よう
「そうさ、ハリー、おれひとりいれば充分じゃないか」
(『ドレスデン・ファイル』ジム・ブッチャー)

魔法使いのハリーと言ってもあの眼鏡の男の子ではなくて、シカゴの電話帳の「魔法使い」の欄に載っているらしいハリー・ドレスデンのことで、とりあえず、ハードボイルドな魔法使いという新しいジャンルを切り開いている人気小説の主人公。

私にとっては期待したほど面白くなくてがっかりした(期待が大きすぎた)けど、アクーニンのファンドーリン・シリーズといい勝負かな。

そうだとも。
私ひとりいれば充分じゃないか。

人は一人では生きられないと言われるけど、結局、人は一人で生きるしかない。共有というのはそもそも幻想に過ぎず、それは確かに美しい幻想ではあるけれど、私はそれに浸る気にはなれない。

今まで通り、たまにそんな幻想を分かち合っているような錯覚を感じられるだけで、私は充分、幸せなんだよ。

そうだとも。
何に耐えるにしろ、何と闘うにしろ、私ひとりいれば充分じゃないか。
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キャパシティ・オーバー
「この人の切符はわたしが払いますから。次の駅まで。」
(『枕木』多和田葉子/短編集『ヒナギクのお茶の場合』所収)


夕方にレスタス1錠、就寝前にデプロメール半錠とロヒプノール1錠。

個人的には、初診でいきなりコレはないんじゃないかと思うのだけど。

客観的には…どうなんだろ。「序の口じゃん」? 「ヤバいよ」?

眠れないことをオーバーに訴えすぎたかな。でも、コレあからさまに抗鬱剤なんだけど…。今まで飲んだことあるコレ系のお薬、デパス(それも1日1錠)くらいなんだけど…。

怖いから今夜は服用しないで、明日、レスタスだけにして良いか訊いてみよ。

追記、とうとう新カテゴリ「メンタルヘルス」作りました。「メンヘル」とは略しません、何故か私はこの手の略語が苦手なので…。
桜のもこもこと春のもやもや
「…僕には世界の残忍さを受け入れることができない。どうしてもできない、それだけのことだ」
(『ある島の可能性』ミシェル・ウェルベック)

そう。
ただそれだけのことだ。
だけど、単純であることと簡単であることは違う。

さて。
ウェルベックの小説は、あまり好きではない。少なくとも不安と苛立ちの最中に読むべき小説ではない。

解っていて読むのは、他に読むものがないから(実に明快な理由)。でも、好きになれないなりに、興味深くて驚嘆できる作家だと思う。

そう思わざるを得ない。「僕には世界の残忍さを受け入れることができない」、そんな一文に出くわすと特に。

で、このタイトルは…苦しまぎれの暫定タイトルです、スミマセン。
エピクロスの懸念
20090408215631
イタリアはアルト・アディジェ州のDOCワイン、使用品種はゲヴュルツトラミネール。ご覧の通り、酒石酸の結晶がコルクについてキラキラ。

行き付けの図書館(私にとって「行き付けの」という枕言葉は「居酒屋」でも「ワインバー」でもなく「図書館」にかかる)、の近くにある、家族経営の小さな酒屋さんで購入したもの。

この酒屋さんでは図書館に行った帰りにワインを買う習慣なのだけど、一度など店内に誰もいなくて、奥の方からかすかにテレビの音が聴こえていて、大声で何度も「すみませーん!」と叫びながらカウンターに代金を置いて出てしまおうかと思い始めた頃にようやく、白髪の老女がよろよろと出てきてくれた(「えらいお待たせしてすんませんなぁ」)。

品揃えは地元の清酒と酒器が中心。ワインの種類は微々たるものなのだけど、何故かマニアックなワインが多い。プライスカードは和紙に筆ペン、あまり饒舌でない簡単なコメントが逆に好ましい。

さて、普段レジにいる小柄で親しげな女性がワイン好きらしく、二言三言、言葉を交わすことがある。イタリア産のゲヴュルツトラミネールというのは町の酒屋さんではまず扱わないような珍しいワインなので、レジに持って行くと早速「ゲヴュルツトラミネール、ご存じですか?」と訊かれた。

ご存じも何も、ドイツやアルザスで極上の甘口ワインに仕立てられる、ライチやバラの香りを持つエキゾチックな品種だ。実は私は少々苦手で(人工的な化粧品の匂いを感じる)、ただイタリアでこの品種がどんなワインになるのか知りたくて選んだのだ。

ドイツ語とイタリア語が併記されたラベルには辛口か甘口かの明記はなく、ただアペリティフやデザートに、とあって、夕食に飲むつもりでいた私は少し不安になる(甘すぎると困る)。でもまあ、何事も舌の経験値だ。

店員さんはゲヴュルツの素性も特徴もよく知っていて(「本来はドイツの品種で、ライチの香りがして私もすごく好きなんです」)、何よりワイン好きで、そしてワイン好きの客を歓待してくれる。

きっとワイン好きのお客がある程度はついてるのだろうけど、でもその小さなショップにはセラーもなく、高価なシャンパンは棚の上に追いやられたまま所在なさげだ。

何となく切ない気持ちになって、会話もそこそこに私はお店を後にした。

買ったワインはほぼ辛口。ゲヴュルツらしい甘い香りとふくよかさを除けば残糖はほとんど感じない。私の苦手な香料っぽさもなく、もちろんゲヴュルツ嫌いの私としては「好きなワイン」だとは言えないのだけど、でも、決して悪くはなかった。

今の世の中、ああいう小さなお店が生き残るのは難しいかもしれない、と思う。自分が消費者として少数派なのは解っているし、百貨店に入っていたワインショップが呆気なく撤退してしまったのも見ているので、とても楽観的にはなれない。

でも、ああいう酒屋さんが長く営業してくれれば良いな、と、心底そう思った。
不在の、耐えられない重さ
夜。
世界が何事もなく機能していることを確かめたくて、ラジオをつける。

ポルノグラフィティの『アポロ』(既に懐かしい)がかかったのだけど、知らなくてもいいことばかり知りすぎている私は素直に聴けない。

宇宙飛行士の第一期生「オリジナル7」の名前をほぼ空で言えるくらい、私はアポロ計画に詳しいのだ。『ライト・スタッフ』は、好きな映画の話をタイトルや俳優ではなく監督から始める私にしては例外的に、監督名を覚えていない映画だ(いや、確かドキュメンタリーの大御所…「ア」か「エ」で始まるような…クンデラの『存在の耐えられない軽さ』を撮ってなかったっけ…それは『男と女』か…ってことは「ア」か「エ」ってアヌーク・エーメからの連想? マルク・テンペ、はアルザスの醸造家だし…ううむ、やっぱり思い出せない)。

とにかく、アメリカが月を目指したのは軍事競争に勝つためだし、アポロ計画は17号で終わってる。

世界があまりにも上滑りに機能していることを確認して、私は禁断の一言を呟く。

「どうでもいい」

ああ、どうでもいいのは私の方だ。いやいや、どうでも良くはない。今はとにかく、早く寝なきゃ。
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