la petit cuvee

“プチキュベ”と、舌ったらずに発音して下さい。 くれぐれも、「ヴェ」と下唇を噛まぬよう・・・。
語りえぬ言葉を胸に秘めて
「跪き、脱帽して飲むべし。」
(アレクサンドル・デュマ/銘酒「モンラッシェ」についての至言)


ワインが好きだと公言して歩いていると、時々「赤と白どっちが好き?」という質問に出くわす。このシンプル極まりない質問が実はとんだ曲者で、私はそう訊かれるといつも、相手が困惑するくらいの長考をしてしまう。それは多分「男と女、どっちが好き?」というのと同じ類の質問で、たとえば「好き」というのにも色々な意味があるし、好き嫌いを分ける基準は(少なくとも私の場合は)性別ではなく個々の人柄だからだ。もちろん、赤と白との間には様々な色味のロゼワインが存在し、泡モノの中には色は白ワインでも黒ブドウ100%で造られている「ブラン・ド・ノワール(黒の白、の意)」なるものが存在しているように、人間にもきっと、「男」と「女」の間には意外に様々な濃淡のグレイゾーンがあるのだと思う。そして、人間を「男」と「女」という基準で二分してしまう視線は、きっと個人個人のいろんな魅力を、あっさり見逃してしまうものだと思う。

で、赤と白。
仮にワインを「赤」と「白」に分けてしまったとして、私が好きなのはどちらか?
手が止まる。先が続けられない。
この問題をまともに考え始めたら、一昼夜じゃ利かない。
唯一の解決方法は、好きな赤ワインと好きな白ワインをひとつずつ挙げていって、どちらが先に打ち止めになるか試してみることだろうと思う。
でもそんなことしてたら、やっぱり一昼夜じゃ利かない。

今後もきっと、同じ質問に出会う機会は多いだろう。
何か、いい答えはないものだろうか。
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パニック・イン・ザ・キッチン
20071124200405


パニックというほどのことじゃないんですけど、まあ、前回のタイトルとセットっぽく。

さて、実に地味な色合いのこの食べ物、何だかお解りでしょうか。

そう、タイのグリーンカレーです。水加減をまちがえて固めのごはんが炊けてしまったのを幸いに、いそいそと作ったんですけど。

グリーンカレーはもともと大好きで、名も知らぬスパイスが満載の本場のやつも喜んで食べるのだけど、今日のコレは辛いの辛くないのって、まさに人生最辛のカレーで。

味見の段階で無言のまま蹲って苦しんでいるうちに鍋が噴いてガス台がエラいことになったりもして。

原因はやはり、鍋が小さすぎてココナッツミルクが規定量入り切らなかったことかと。

はぁ。カレーに生玉子を割り入れて食べるなんて、実に二十数年ぶりでした。
マジック・イン・ザ・ガーデン
「人間っていうのは誰でも成長の過程で精神に対する数多くの絶対絶命の危機を奇跡的にかつ事もなげに乗り越える…」
(『季節の記憶』保坂和志)


本当は引用したかったのは「奇跡的にかつ事もなげに」というただその一言だけで、私はここで「人は誰でも」とか「成長」とか「絶対絶命の危機」とか「乗り越える」とかを問題にするつもりは全然ない。

『季節の記憶』の冒頭で、五歳の「クイちゃん」が「僕」に、「ねえ、パパ、時間って、どういうの?」と訊ねるのだけど、それに対する「僕」の答えが、小さな種から芽が出てどんどん大きくなって、という話から始まる。そうして、宇宙ぜんぶを内包するものとしての「時間」を、「僕」は幼い息子に説明しようとするのだ。

引用した言葉はこのやりとりとは無関係なところで出てくるのだけど、私は「奇跡的にかつ事もなげに」という言葉から鮮やかに、この場面で語られた時間と宇宙のイメージを思い出した。

もっとも、私の思う「宇宙」は何もアンドロメダとかそういうものではなく、例えばそんな場所でも種が「奇跡的にかつ事もなげに」芽吹いて葉を広げて育つ、ベランダの小さなプランターのことなのだけれど。

人間もそんな風に、健やかに育つ生きものならいいのにねぇ…。
劇場サポーターレポートのための原稿、その4
「プレスト&フォルティシモ!」

劇場サポーター公演鑑賞研修レポート
びわ湖シンフォニーホール第3回「沼尻竜典&トウキョウ・モーツァルト・プレーヤーズ」


オーケストラ苦手、ベートーヴェン苦手、プログラムは知らない曲ばかり、という三重苦状態で恐る恐る足を運んだ公演、でしたが…。
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